昆虫の王様!~その2

2023年

その後も、僕は、その場で、カブトムシとクワガタを眺めながら、1人、喜びに浸っていたんですけど、しばらくすると、また、幹の上方から、歩いて下りて来る昆虫の気配に気付きました。

「今度は、何や?」

「お~っ!これ、クワガタのメスとちゃうんか!?」

オスと同じく、クワガタのメスも、一目散に、木の根元に向かって、歩き去って行きました。

距離的に、きっと、この2人の男女(?)が交尾をして、子孫を残す事になるんでしょうね。

カブトムシだけが、王者の風格で、その場に、静かに佇んでいました。

僕は、山で遊び始めて19年目にして、初めて目撃したカブトムシを、ちょっとだけでも捕まえて、触れてみたい衝動に駆られはしたんですけど、やめておきました。

カブトムシに最後に触れたのは、小学生の頃やったと思いますので、もう、かれこれ40年近くぶりにはなるんですけど、それでも、やめておきました。

これだけ、目撃するのがレアな昆虫ですので、何か、触れたら、あかんような気がしました。

その日、僕は、不思議な幸福感に満たされながら、山の土地を後にしました。

ほんでもって、その翌日、再び、山を訪れた僕は、「おるわけ、ない。」とは分かっていながらも、到着するや否や、まず最初に、前日に、カブトムシを目撃した木の、同じ場所を確認しに行きました。

ほな、やっぱり、カブトムシの姿は、そこには、ありませんでした。根元にも、クワガタはいてませんでした。

せやけど、同じ木の別の場所から、また、樹液が出ていたようで、そこに、カナブンが2匹、いてました。

「やっぱり、もう、おらんわな・・・・・。」

そないに思いながら、ふと、地面に視線を落した僕は、あるものを発見しました。

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「カブトムシの頭や・・・・・・!!!!!」

「あいつ、鳥に食われてもうたんや・・・・・。そら、あんなとこにおったら、目立つわ。。。。。」

何とも言えない気持ちになりました・・・・・・。

カブトムシ君!おおきに!

19年目にして、初めて見る事が出来た、君の雄姿は忘れへんぞ!

また、来年、会えたらええな!

”サヨナラ”は、言えへんからな。また、来年、必ず、戻っておいでや!

待ってるから!

~完~

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